持続可能な成長は、かつては大企業の話だと考えられていました。しかし中小企業にとって「グリーン」とは、何よりもまず無駄を減らすことです。紙の書類を減らし、電力を減らし、在庫を減らし、手作業の時間を減らす。グリーンDXとは、テクノロジーを活用して、ビジネスの効率と環境への責任という2つの目標を同時に達成する取り組みです。
グリーンDXとは?
グリーンDXとは、効率の向上と環境への負荷の低減という二重の目標を掲げて、デジタル技術を企業の業務に取り入れていくプロセスです。よく一緒に語られる2つの潮流、デジタルトランスフォーメーション(DX)とグリーントランスフォーメーション(GX)を組み合わせた考え方です。環境保護をコストとしてとらえるのではなく、技術による改善そのものが資源と費用の節約につながるようにすることを目指します。
これはベトナム企業にとってますます重要になっています。ベトナムはCOP26で、2050年までに排出量を実質ゼロ(ネットゼロ)にすることを約束しました。特に欧州などの市場の輸入パートナーの多くも、サプライヤーに対して排出量や生産プロセスの透明性を求め始めています。早めに準備を進めた企業ほど、サプライチェーンに参入する際に優位に立てます。
クラウド:柔軟で省エネルギーなインフラ
多くの企業はいまだにオフィス内にサーバーを設置し、ほとんどの時間はごく一部の能力しか使っていないにもかかわらず、24時間365日稼働させています。サーバーの電気代に加え、冷却、保守、機器の交換にも費用がかかります。クラウドへ移行すれば、電力や冷却システムが小さなサーバールームでは到底実現できない水準まで最適化された大規模データセンターのインフラを共有できます。
AWS、Google Cloud、Microsoft Azureといった大手プロバイダーはいずれも再生可能エネルギーの利用目標を公表しており、利用者が使うリソースに紐づいた排出量を把握するツールも提供しています。ただし、クラウドが本当にグリーンで経済的になるのは、正しく使った場合だけです。
- 負荷に応じたスケーリング:ピーク時には自動でリソースを増やし、夜間や週末には減らします。
- 使っていない環境を停止:テスト用サーバーや開発環境は、業務時間外に自動で停止するようにします。
- 適切な構成の選択:定期的に見直し、実際のニーズに対して大きすぎるサーバーを借りないようにします。
- データの整理:価値のなくなった古いバックアップやファイルを削除し、アクセス頻度の低いデータはより安価なストレージ層へ移します。
業務プロセスの自動化で書類と無駄な作業を削減
何枚も複写して印刷した支払い書類が4つの部署を回って押印され、その後何年も倉庫に保管される――多くの会社でおなじみの光景です。こうしたプロセスをデジタル化・自動化すれば、紙やインクを節約できるだけでなく、処理時間を数日から数時間に短縮し、手入力によるミスも減らせます。
電子インボイスは政令123/2020/ND-CPによってすでに義務化されているため、取り組みの出発点として自然です。その基盤の上に、ほかの社内プロセスへと広げていくことができます。削減した紙一枚、書類を運ぶ移動一回の一つひとつが、具体的な節約になります。
- 紙の書類に代えて、電子インボイス、電子契約、電子署名を導入します。
- 稟議、仮払い、休暇の申請・承認を、スマートフォン上でオンラインで行います。
- WebサイトやECモールの注文を、在庫管理ソフトや会計ソフトへ自動で同期します。
- 定期レポートは、Excelで手作業で集計するのではなく、自動で作成・送信します。
データ:測定できてこそ最適化できる
無駄がどこにあるのかわからなければ、無駄を減らすことはできません。販売、在庫、生産のソフトウェアやセンサー機器から得られるデータによって、これまでは経験から推測するしかなかったポイントが見えるようになります。
たとえば食品チェーンであれば、日々の販売データから需要を予測し、より実態に即した仕入れを行うことで、廃棄せざるを得ない期限切れ商品を減らせます。製造工場なら、機械ごとにスマート電力メーターを取り付け、異常な電力消費やアイドリング運転をしている設備を発見できます。配送事業者であれば、ルートを最適化して走行距離と燃料を削減できます。
最初の一歩は複雑である必要はありません。月ごとの電力消費量、廃棄率、輸送距離といったいくつかの主要指標をまとめたダッシュボードがあれば、経営陣は感覚ではなくデータに基づいて意思決定できるようになります。
軽量なソフトウェアと機器のライフサイクル
ソフトウェア自体もエネルギーを消費します。圧縮されていない画像、不要なコード、多すぎる外部ライブラリを抱えた重いWebサイトは、より多くの通信量とサーバーリソースを消費し、ユーザー体験も遅くしてしまいます。グリーンなソフトウェアの原則は、軽量に設計することです。画像を最適化し、キャッシュを活用し、ユーザーが本当に必要とするものだけを読み込みます。
- WebPやAVIFなどの最新の画像フォーマットを優先し、ユーザーがスクロールしたときにだけ画像を読み込みます。
- データベースのクエリとキャッシュを最適化し、サーバーの負荷を軽減します。
- 重いアプリケーションをクラウドへ移し、標準的なスペックのオフィスPCでも快適に使えるようにすることで、機器のライフサイクルを延ばします。
- 古い電子機器は再利用するか、規定に沿って適切に処理する回収業者に引き渡します。
中小企業のためのグリーンDXロードマップ
グリーンDXに、最初から大きな投資は必要ありません。効果的なのは、コストの節約と無駄の削減が最もはっきり見込めるところから始め、成果が見えてきたら徐々に範囲を広げていくアプローチです。
大切なのは、技術に関する意思決定の際に、コストや効果と並んで「グリーン」を判断基準のひとつとしてとらえることです。GREEN TECHは企業とともに現状を調査し、実際の規模や予算に合ったロードマップを策定するお手伝いができます。
- 現状の評価:インフラ、ソフトウェア、紙ベースの業務プロセス、エネルギー関連の支出を洗い出します。
- 取り組みやすいことから着手:電子インボイス、オンライン承認、メールとデータ保管のクラウド移行。
- 指標の設定:インフラコスト、印刷枚数、書類の処理時間を四半期ごとに追跡します。
- 計画的な拡大:部署間のデータ連携、分析の活用、より踏み込んだ自動化へと進めます。
この記事のポイント
- グリーンDXは、業務効率の向上と環境負荷の低減という二重の目標を目指す取り組みです。
- クラウドが本当に経済的になるのは、リソースのスケーリング、見直し、整理を定期的に行った場合です。
- 業務プロセスのデジタル化とデータ活用によって、書類、在庫、エネルギーの無駄を削減できます。
- 小さく測定しやすいことから始め、明確なロードマップに沿って広げていきましょう。





